蒼穹のファフナー文章(ときどき絵)サイト
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2024.11.22 Friday
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END OF THE WORLD9
2011.11.20 Sunday
「でもさ、こんなのがいいなんて、言ったことないよ」
一騎は溢れそうになる涙をこらえて顔を上げた。
いつのまにか部屋の中には深く西日が差し込んでいる。もう夕方だった。
一騎はぼんやりする頭でカレンダーを見つめる、あれからたぶんもう三日以上は経っているのだろう。
テレビもラジオもつけていないから正確な日付などわからないが、
気味悪いほどにオレンジ色に染まるこの部屋の壁を、もう三回くらいは見たような気がするからだ。
街はとても静かだった、たぶん、三日くらい前から。
その日、アルヴィス本部が崩壊した。本当に突然の出来事だった。
あちこちで号外を配る新聞社の人間が見えないほどに人々は群がってその記事を欲していた。
けれど足元には読み捨てられた紙切れが大量に落ちて、踏み潰されては風に飛ばされている。
その一枚を拾って読んだ一騎はひどくぼんやりと、総士はまだ生きているのかなと思った。
そして操が、いなくなった。
部屋に戻った一騎は、テーブルの上に置かれていたペンダントを手に取る。
いつしか運んだペンダントだ、そして総士に助けられた。
そんなことを思い出しながら表面を指で触ると、スライド式になっていたのか中の黒い板が顔を出した。
目を凝らすとそこにはいくつかの数字が並んでいて、その後にはよく耳にする銀行の名前が彫られている。
その数分後、一騎は大金を手にした。二度と、こんな仕事などしなくていい程の。
涙が溢れた。
その瞬間から、一騎は、何もかもが全くわからなくなってしまった。
泣き疲れて眠って起きて、部屋中を探してはまた、操がいない現実に怖くなって声を殺して泣いた。
慣れることなんて出来ない、むしろ一度目より二度目の方がずっと苦しいと、嫌だと思った。
突然全てを失くしてしまうのは。
「こんなお金じゃ、全然足りないよ」
一騎は見上げた天井に向かってぽつりと呟いた。本当は操に大声で叫びたかった。
操と引き換えに、今日も明日も、たぶん死ぬまでずっと何不自由なく暮らしていける程の大金が転がり込んだ。
けれど、
「おかえり」
そう言って笑って頭を撫でてくれる人間は、どこにもいなくなってしまった。
あれからずっとこの部屋には自分一人しかいない。誰も帰ってこない。
「足りないよ」
お金なんかじゃないんだ、と一騎はまた操に言いたかった。
これを全部使ったって、また笑えるようになんてなれない。この苦しさを消すことすら出来ない。
一人は、怖い。
また涙が溢れてくる。
その時、鳴るはずがない玄関のベルが鳴った。
一騎は溢れそうになる涙をこらえて顔を上げた。
いつのまにか部屋の中には深く西日が差し込んでいる。もう夕方だった。
一騎はぼんやりする頭でカレンダーを見つめる、あれからたぶんもう三日以上は経っているのだろう。
テレビもラジオもつけていないから正確な日付などわからないが、
気味悪いほどにオレンジ色に染まるこの部屋の壁を、もう三回くらいは見たような気がするからだ。
街はとても静かだった、たぶん、三日くらい前から。
その日、アルヴィス本部が崩壊した。本当に突然の出来事だった。
あちこちで号外を配る新聞社の人間が見えないほどに人々は群がってその記事を欲していた。
けれど足元には読み捨てられた紙切れが大量に落ちて、踏み潰されては風に飛ばされている。
その一枚を拾って読んだ一騎はひどくぼんやりと、総士はまだ生きているのかなと思った。
そして操が、いなくなった。
部屋に戻った一騎は、テーブルの上に置かれていたペンダントを手に取る。
いつしか運んだペンダントだ、そして総士に助けられた。
そんなことを思い出しながら表面を指で触ると、スライド式になっていたのか中の黒い板が顔を出した。
目を凝らすとそこにはいくつかの数字が並んでいて、その後にはよく耳にする銀行の名前が彫られている。
その数分後、一騎は大金を手にした。二度と、こんな仕事などしなくていい程の。
涙が溢れた。
その瞬間から、一騎は、何もかもが全くわからなくなってしまった。
泣き疲れて眠って起きて、部屋中を探してはまた、操がいない現実に怖くなって声を殺して泣いた。
慣れることなんて出来ない、むしろ一度目より二度目の方がずっと苦しいと、嫌だと思った。
突然全てを失くしてしまうのは。
「こんなお金じゃ、全然足りないよ」
一騎は見上げた天井に向かってぽつりと呟いた。本当は操に大声で叫びたかった。
操と引き換えに、今日も明日も、たぶん死ぬまでずっと何不自由なく暮らしていける程の大金が転がり込んだ。
けれど、
「おかえり」
そう言って笑って頭を撫でてくれる人間は、どこにもいなくなってしまった。
あれからずっとこの部屋には自分一人しかいない。誰も帰ってこない。
「足りないよ」
お金なんかじゃないんだ、と一騎はまた操に言いたかった。
これを全部使ったって、また笑えるようになんてなれない。この苦しさを消すことすら出来ない。
一人は、怖い。
また涙が溢れてくる。
その時、鳴るはずがない玄関のベルが鳴った。
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