蒼穹のファフナー文章(ときどき絵)サイト
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2024.11.21 Thursday
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星に願いを9
2012.02.20 Monday
「どう…して」
ともすると意識が遠のきそうになるくらいのGを身体中に受けながら一騎は呟いた。
肋骨がギシギシと今にも砕け散りそうな音を上げる。締め付けられた心臓が悲鳴を上げる。
「こんなのは…もう、嫌だ」
ザインは急上昇を続ける。行く手に捉えるのは、灰色の巨大な機体。
その開口部から放たれる振動共鳴波の複雑な軌道を瞬時にかわしながら距離をつめていく。
一騎はその巨大な灰色の機体の一点を見つめる。
クロッシングをはかれないその空間にいる二人に思いを馳せる。
「お前の気持ちを受け止めていたら、こんなことには…ならなかったのか?」
一騎は呟いた。
脳裏に浮かぶのは、つい三日前の水中展望室でのこと。
強化ガラスにぺたりと頬をつけた瞭は、目を閉じたまま壁にもたれかかっていた。
「間違ってなんかないって」
一騎の存在に気付いたのか、瞭は静かに口を開く。
「間違ってなんかないって…言ってくれませんか」
消え入るような声で瞭は言った。
「僕は、間違ってるから、島には必要ないから、みんなと違うからそれは…敵なんですか」
「やり方がみんなと違うからそれで僕は責められる、たぶんそれは間違ってるってこと。けれど僕にはそれがわからない。間違ってなんかないんじゃないかって思う。でも自信がなくてぐらぐらする。誰かに、間違ってなんかないよって、言ってほしいんです」
瞭の閉じられた瞼から一筋涙が零れ落ちる。
一騎ははっと息を飲んだ。けれど、開いた口から言葉を発することは出来なかった。
「ごめんなさい、ただのわがままです…忘れてください」
そう言って瞭は俯いた。
「だからってお前の出した答えは、これなのか」
一騎はルガーランスを眼前に構える。
「島の…敵になることなのか」
そのままゼロファフナーに向かって突進すると、右前腕部に刀身を突き刺した。
そして刀身を先端から開こうとした瞬間、強制的にクロッシング状態に置かれる。
「一騎…先輩」
里奈だった。
「もう瞭は瞭じゃないんです。変わってしまった、いえ、私が変えてしまったのかもしれません。苦しんでたのを、知ってたのに」
突然開いたモニターに映った里奈の姿に一騎は絶句した。
腕の中に、血まみれの瞭を抱いたまま涙を流してこちらをじっと見ている。
「でも私はあの家に一人でいたくない。瞭と一緒がいいんです。わがまま言ってごめんなさい」
そう言って里奈は微笑んだ。
不意に目の前に画面が浮かぶ。
フェンリルだ、と一騎が理解した瞬間、ザインはゼロファフナーの右腕もろともその巨大な機体から切り離される。
レーザーパレットの逆噴射によって加速度をつけ、ものの数秒で数百メートルの距離をザインは吹き飛ばされた。
「だめだ」
一騎は力の限り叫ぶ。
「やめろ!戻ってこい!」
体勢を立て直したザインが反転した瞬間、凄まじい轟音が鳴り響いて辺りは一面、黒い煙に覆いつくされる。
ゼロファフナーのフェンリルが作動し、大爆発を起こしたのだ。
「…あ」
一騎は呆然と前を見つめる。
「どう…して」
掠れた声しか出なかった。喉がカラカラに渇いていた。
両頬を涙が伝っていくのがわかる。手も足もガクガクと震えだす。
一騎はコックピットの中で蹲った。
泣きたい訳ではなかった。悲しいのかもよくわからない。
何も考えたくなくて目を閉じると、そっと意識が遠のいていった。
ともすると意識が遠のきそうになるくらいのGを身体中に受けながら一騎は呟いた。
肋骨がギシギシと今にも砕け散りそうな音を上げる。締め付けられた心臓が悲鳴を上げる。
「こんなのは…もう、嫌だ」
ザインは急上昇を続ける。行く手に捉えるのは、灰色の巨大な機体。
その開口部から放たれる振動共鳴波の複雑な軌道を瞬時にかわしながら距離をつめていく。
一騎はその巨大な灰色の機体の一点を見つめる。
クロッシングをはかれないその空間にいる二人に思いを馳せる。
「お前の気持ちを受け止めていたら、こんなことには…ならなかったのか?」
一騎は呟いた。
脳裏に浮かぶのは、つい三日前の水中展望室でのこと。
強化ガラスにぺたりと頬をつけた瞭は、目を閉じたまま壁にもたれかかっていた。
「間違ってなんかないって」
一騎の存在に気付いたのか、瞭は静かに口を開く。
「間違ってなんかないって…言ってくれませんか」
消え入るような声で瞭は言った。
「僕は、間違ってるから、島には必要ないから、みんなと違うからそれは…敵なんですか」
「やり方がみんなと違うからそれで僕は責められる、たぶんそれは間違ってるってこと。けれど僕にはそれがわからない。間違ってなんかないんじゃないかって思う。でも自信がなくてぐらぐらする。誰かに、間違ってなんかないよって、言ってほしいんです」
瞭の閉じられた瞼から一筋涙が零れ落ちる。
一騎ははっと息を飲んだ。けれど、開いた口から言葉を発することは出来なかった。
「ごめんなさい、ただのわがままです…忘れてください」
そう言って瞭は俯いた。
「だからってお前の出した答えは、これなのか」
一騎はルガーランスを眼前に構える。
「島の…敵になることなのか」
そのままゼロファフナーに向かって突進すると、右前腕部に刀身を突き刺した。
そして刀身を先端から開こうとした瞬間、強制的にクロッシング状態に置かれる。
「一騎…先輩」
里奈だった。
「もう瞭は瞭じゃないんです。変わってしまった、いえ、私が変えてしまったのかもしれません。苦しんでたのを、知ってたのに」
突然開いたモニターに映った里奈の姿に一騎は絶句した。
腕の中に、血まみれの瞭を抱いたまま涙を流してこちらをじっと見ている。
「でも私はあの家に一人でいたくない。瞭と一緒がいいんです。わがまま言ってごめんなさい」
そう言って里奈は微笑んだ。
不意に目の前に画面が浮かぶ。
フェンリルだ、と一騎が理解した瞬間、ザインはゼロファフナーの右腕もろともその巨大な機体から切り離される。
レーザーパレットの逆噴射によって加速度をつけ、ものの数秒で数百メートルの距離をザインは吹き飛ばされた。
「だめだ」
一騎は力の限り叫ぶ。
「やめろ!戻ってこい!」
体勢を立て直したザインが反転した瞬間、凄まじい轟音が鳴り響いて辺りは一面、黒い煙に覆いつくされる。
ゼロファフナーのフェンリルが作動し、大爆発を起こしたのだ。
「…あ」
一騎は呆然と前を見つめる。
「どう…して」
掠れた声しか出なかった。喉がカラカラに渇いていた。
両頬を涙が伝っていくのがわかる。手も足もガクガクと震えだす。
一騎はコックピットの中で蹲った。
泣きたい訳ではなかった。悲しいのかもよくわからない。
何も考えたくなくて目を閉じると、そっと意識が遠のいていった。
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