蒼穹のファフナー文章(ときどき絵)サイト
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2024.11.22 Friday
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君と僕とあの夏の日と13
2011.11.20 Sunday
「あ」
「久しぶり」
一騎は総士を迎えに生徒会室に向かい、勢いよくドアを開けた途端、
中にいた人物が総士ではなくてなんだか驚いて固まってしまった。
「今ちょっと誰もいないんだけど、中入れば?」
と笑い掛けた相手に一騎は反射的に頷いてしまって、そのまま教室へと足を踏み入れると静かにドアを閉める。
ぽんぽん、と机を叩いて向かいへ座れとでも言いたそうにこちらを見つめる視線に、
変に焦りのような気持ちが沸き上がって椅子を引くとそのまま一騎は座った。
「暑っついよねぇ」
何を話されるのかと身構えた一騎に、目の前の相手、将陵僚はぼけっと窓の外を眺めると、
肘をついていた腕で長い前髪をかき揚げる。
日に焼けていない白い肌に、太陽に照らされた黒髪がキラキラと映えて、
なんだか自分とは次元の違う人のように感じてしまう。
たった1年違うだけなのに、というかあと1年経ったら自分もこんな風に大人っぽくなれるのかなぁと、
僚の左腕の腕時計を見ながら一騎はぼうっと考えた。
教室にある大きな時計とか開けたら表示される携帯の時計とは違って、
きっちりはめられた腕時計を見ていると、なんだかその人だけの時間を持っているような感じがして、
それが何となく大人だよなぁと、まぁ生徒会長だから仕方ないのかもしれないけど、
と一騎は目の前の僚の顔を見つめては、ばっちりと目が合ってしまって恥ずかしくなって目を逸らした。
「告白でもされるのかと思った」
「…は?」
クスクスと笑いながら呟いた僚に一騎は「違います…ってば」と返すと、
僚はまたこちらを見ながらクスクスと笑う。
「真壁ってさ、普通に見ればかっこいいんだけどさ、なんか…かわいいよな」
「…どういう、意味ですか?」
「そのまんま」
そう言って僚は重ねた両手の上に顔を乗せると、一騎を下から覗き込む。
やたら遊ばれてる気分がして一騎はどうしていいかわからなかったのだが、
ずっと見られていると思うと嫌でも顔が熱くなってくるような気がして思わず目が合わないように下を向いた。
「ごめん、かわいいからついからかいたくなっちゃった」
「か、かわいいって」
「うん、だから、ごめん」
顔上げてよ、と僚に言われておそるおそる一騎は顔を上げると、
さっきまでとは違って柔らかい表情を浮かべた僚の顔があった。
「傷は良くなった?」
「あ、はい、まだ完治とまではいかないですけど」
「そっか、なんか心配してたんだ」
「え?」
「皆城がさ、やたら最近不安定だったから」
「総士が?」
「あいつがそんななるなんて、たぶん真壁の事なんだろうなって」
「…俺、ですか?」
「仲良すぎだし、お前ら」
そう言って悪戯っぽく笑った僚に一騎はまた何も返せなくなって下を向く。
「でもなんか、皆城の気持ちも解るかも」
と続けた僚に、一騎は目線だけちらりと上を向くと、僚は笑って「だってなんかかわいいし」とまた言った。
「何で…」
と一騎はまたも下を向いて、やたら上機嫌で話しかけてくる僚に何を言ったらいいものかと困っていると、
僚が口を開いた。
「もう少し、あと1分くらいかな?」
「え?」
「じゃあ俺はもう帰るから」
そう言って僚は机の横に掛けてあった鞄を取ると、椅子から立ち上がる。
「また暇だったら遊びに来てよ」と言い残して僚はそのまま教室を後にした。
「…何なんだよ」
一騎は思わずぽつりと呟いて、僚の消えたドアの方を見る。
すると、間もなく違う足音が聞こえてきて、ガラリとまたドアが開いた。
「そーし」
「ごめん、待たせた」
「あ、いや」
「僚先輩に残りの仕事全部頼まれてさ」
「え?」
「どうかしたか?」
「いや、ついさっきまであの人暇そうにしてたよ、ここで」
「…あー」
「?」
「なんかやたらと一騎の事聞いてくるなと思ったら」
「俺?」
「なんか言われたか?」
「え?いや、別に」
「ならいいけど」
と言ってなんだかほっとしているような総士を横目に、
そういえばかわいいって一杯言われたけどなんとなくそれは言わないほうがいいかなと一騎は思って、
バッグを取ると椅子から立ち上がった。
「久しぶり」
一騎は総士を迎えに生徒会室に向かい、勢いよくドアを開けた途端、
中にいた人物が総士ではなくてなんだか驚いて固まってしまった。
「今ちょっと誰もいないんだけど、中入れば?」
と笑い掛けた相手に一騎は反射的に頷いてしまって、そのまま教室へと足を踏み入れると静かにドアを閉める。
ぽんぽん、と机を叩いて向かいへ座れとでも言いたそうにこちらを見つめる視線に、
変に焦りのような気持ちが沸き上がって椅子を引くとそのまま一騎は座った。
「暑っついよねぇ」
何を話されるのかと身構えた一騎に、目の前の相手、将陵僚はぼけっと窓の外を眺めると、
肘をついていた腕で長い前髪をかき揚げる。
日に焼けていない白い肌に、太陽に照らされた黒髪がキラキラと映えて、
なんだか自分とは次元の違う人のように感じてしまう。
たった1年違うだけなのに、というかあと1年経ったら自分もこんな風に大人っぽくなれるのかなぁと、
僚の左腕の腕時計を見ながら一騎はぼうっと考えた。
教室にある大きな時計とか開けたら表示される携帯の時計とは違って、
きっちりはめられた腕時計を見ていると、なんだかその人だけの時間を持っているような感じがして、
それが何となく大人だよなぁと、まぁ生徒会長だから仕方ないのかもしれないけど、
と一騎は目の前の僚の顔を見つめては、ばっちりと目が合ってしまって恥ずかしくなって目を逸らした。
「告白でもされるのかと思った」
「…は?」
クスクスと笑いながら呟いた僚に一騎は「違います…ってば」と返すと、
僚はまたこちらを見ながらクスクスと笑う。
「真壁ってさ、普通に見ればかっこいいんだけどさ、なんか…かわいいよな」
「…どういう、意味ですか?」
「そのまんま」
そう言って僚は重ねた両手の上に顔を乗せると、一騎を下から覗き込む。
やたら遊ばれてる気分がして一騎はどうしていいかわからなかったのだが、
ずっと見られていると思うと嫌でも顔が熱くなってくるような気がして思わず目が合わないように下を向いた。
「ごめん、かわいいからついからかいたくなっちゃった」
「か、かわいいって」
「うん、だから、ごめん」
顔上げてよ、と僚に言われておそるおそる一騎は顔を上げると、
さっきまでとは違って柔らかい表情を浮かべた僚の顔があった。
「傷は良くなった?」
「あ、はい、まだ完治とまではいかないですけど」
「そっか、なんか心配してたんだ」
「え?」
「皆城がさ、やたら最近不安定だったから」
「総士が?」
「あいつがそんななるなんて、たぶん真壁の事なんだろうなって」
「…俺、ですか?」
「仲良すぎだし、お前ら」
そう言って悪戯っぽく笑った僚に一騎はまた何も返せなくなって下を向く。
「でもなんか、皆城の気持ちも解るかも」
と続けた僚に、一騎は目線だけちらりと上を向くと、僚は笑って「だってなんかかわいいし」とまた言った。
「何で…」
と一騎はまたも下を向いて、やたら上機嫌で話しかけてくる僚に何を言ったらいいものかと困っていると、
僚が口を開いた。
「もう少し、あと1分くらいかな?」
「え?」
「じゃあ俺はもう帰るから」
そう言って僚は机の横に掛けてあった鞄を取ると、椅子から立ち上がる。
「また暇だったら遊びに来てよ」と言い残して僚はそのまま教室を後にした。
「…何なんだよ」
一騎は思わずぽつりと呟いて、僚の消えたドアの方を見る。
すると、間もなく違う足音が聞こえてきて、ガラリとまたドアが開いた。
「そーし」
「ごめん、待たせた」
「あ、いや」
「僚先輩に残りの仕事全部頼まれてさ」
「え?」
「どうかしたか?」
「いや、ついさっきまであの人暇そうにしてたよ、ここで」
「…あー」
「?」
「なんかやたらと一騎の事聞いてくるなと思ったら」
「俺?」
「なんか言われたか?」
「え?いや、別に」
「ならいいけど」
と言ってなんだかほっとしているような総士を横目に、
そういえばかわいいって一杯言われたけどなんとなくそれは言わないほうがいいかなと一騎は思って、
バッグを取ると椅子から立ち上がった。
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