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蒼穹のファフナー文章(ときどき絵)サイト
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らぶらぼ2
「あ・・・え?」

一騎は何回も瞬きをすると、目の前に迫っている光景に固まった。


















な、何でこんなことになってるんだ!?

一騎はいまだぼうっとする頭をフル回転させて考える。
確か、さっきまで戦闘で、ファフナー降りて、メディカルチェックを受けようと・・・

してたはずだけど。
何で平衡感覚がおかしくなったんだ?

「一騎、だいじょうぶか?」

何で、総士に抱きかかえられちゃってるわけ?俺

「あっ・・・れ?俺」

全く思考がついていかず、この上なく舌足らずな喋りをぶちかましてしまう。
総士はそれはそれは心配そうな顔をして一騎を覗き込んだ。

「いま、メディカルルームに運んでやるから」

俺は今までどこにいたんだ?
一騎が?マークを目一杯飛ばしていると、総士は悲痛な面持ちで答える。

「お前、そこの廊下で倒れてたんだ、覚えて・・・ないか?」

たお・・・たおれた!?俺が?この健康優良児の俺が?
一騎は更に?マークを飛ばしまくる。
それを何か勘違いした総士は眉根を寄せたまま続ける。

「ごめん」

一騎はこれ以上ないくらい目を見開いた。

「気付いてやれなかった・・・こんなに、苦しかったのに」

総士の両目にみるみるうちに涙が溜まる。

「あの・・・そ、し?」

一騎は目をぱちくりさせながら恐る恐る尋ねる。
総士は一騎を抱えたまま俯いた。
色素の薄い綺麗な長い髪が一騎の顔と肩にさらさらと触れる。

あ、ちょ、これやば・・・なんか。

一騎は一気に顔がかーっと熱くなっていくのが判った。

「一騎、顔、赤い。熱でもあるのか?」

と、これまた勘違った総士はうるうるした目で一騎を見つめてくる。
え、ちょ、総士?なんか顔が近付いてきてるような・・・

「・・・っあ(///)」

おでこが!!!
おでこが触れ合ってるんですけどっ!!!
き、ききき

(キスする時ってこんな近いんだよな)

とか変な事思ってる場合じゃなくって、俺。

「一騎、つらいか?」

はい、何かたぶんすごく別の意味で。

単純に心配してくれている総士の思いなどそっちのけで一騎は自分の欲望に素直だった。

「んぁっ・・・ぅ」

ら、妙な声を出してしまった。
ずっと口を半開きにしていたせいで唾液が足りなかったらしく全く言いたい単語の発音になっていなかった。
「違う」って、言いたかったんだけどな。
一応、その、総士が心配してるような意味では。

総士はそれはもう辛そうに一騎の顔を見ると、一騎の思いなどそっちのけで言った。

「早く、良くしてやるからな?」





うああああああっ(叫べないけど)


一騎は一向に伝える事なんて出来ない気持ちと抑えきれない元気な欲望に耐えきれず、思わず涙を流してしまった。
運悪く総士と目が合ってしまい、いたたまれなくなってぎゅ、と目を瞑る。
それを「涙を流すほど苦しくて意識を手放してしまった」と、
ある意味正しく受け止めた総士は足早にメディカルルームを目指した。

心地良い振動に揺さぶられながら一騎は思った。

そういえば、どうして俺って倒れたんだろう?

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らぶらぼ1
「うあああっ、もうやだやだ!」

火曜日、2限目、雲一つない快晴。
一騎は屋上でひとりじたばた叫んだ。

澄み切った青い空がなんだか恨めしい。
中学生とは実に悩みの多いもので、例に漏れず一騎もずぶずぶとハマりまくっていた。

悩みとはそう、昨日の戦闘の時の事である。
いつものようにフェストゥムと戦っていた一騎だったが、少々押され気味だった。
そこへジークフリードシステムの総士から声が響く。

「一騎、もっと僕を感じるんだ」

その瞬間、ふわっと自分の身体の中に自分じゃないものが侵入して一体化する感覚。
耳元ではなく頭の中に直接響く総士の声。

「そ・・・うし?」

ひとつになるんだ、と頭の中で総士が言った。

その途端、見違える程動作のキレが良くなったマークエルフは、フェストゥムを瞬殺したらしい。

と、後で父親に聞いた。
言えるはずなかったけど、実は、いまいちそれからの記憶がはっきりしていない。

「総士って鈍いくせにさぁ」

とてつもないエロ爆弾を投下するのだ、戦闘中に。
その瞬間は、確かに自分も戦闘に集中してるから、ぼーっと、いわゆるされるがまま(←主観的に)状態なのだが、
フェストゥムを倒してさぁ帰るかと思った時にどばーっと、かああああーっと頭の中がピンク色で埋まるのだ。
おまけに、よく頑張ったな、身体、辛くないか?なんて声を掛けてくるもんだから、
なんかもうそれは「事後の会話」っぽくて余計恥ずかしくなったりする。

こんなに、総士の事が好きなのに。

しかし当の本人は全くそんな気持ちには気付いていない。
いや、気付いていてあんな言葉責め(←主観的)するんだったらかなりのSだ。や、Sでもいいけど(?)

ぐるぐるぐるぐるした一騎は、はぁ、と大きな溜息を吐いた。

「ひとつになりたいよ」

肉体的な意味で。

思春期の健全な男子の脳内に、「サボり」という言葉は存在していないようである。















「一騎くーん、またこんなとこでサボってたの?」

15分後、授業が終わったらしい真矢が屋上に来た。
一騎は浮かない顔で言う。

「それどころじゃないんだって」

真矢はノートをぽん、と一騎の顔に被せる。

「一騎くんの場合、勉強の方がそれどころじゃないと思うよ、はいこれ数学」

一騎はノートを取ると起き上がった。

「いつもありがと」

真矢は笑う。

「どうせまた皆城くんのこと考えてたんでしょ?」

「う」

一騎の困った顔を見て真矢は肩をすくめた。

「言っちゃえばいいのに」

真矢は空を見上げて笑う。

「うう」

一騎はうつむく。

「まぁ、鈍すぎるもんね、うん、わかるよ、ちょっとだけ」

真矢は一騎の頭をなでなでする。

「応援してるよ、私は」

「・・・ありがと」

二人の上の空はやっぱりどこまでも青かった。

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